百害あって一利なし 歪んだホイールを使って、あるものをダメにしてしまった話し

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その昔というより大昔、未だ私がラリー競技に参加し始めた頃の話しです。

収入の大半を競技車両の作製や維持、クラッシュで抱えた板金屋さんのローンの返済、必要不可欠な部品の購入、大会の参加費用などにつぎ込んでいた為、資金的な余裕は全く無く、典型的な貧乏プライベーターでした。

スポンサーがいる優秀なラリードライバーには、ラリータイヤは毎戦新品、ショックアブソーバーは数戦に一度新品、ないしオーバーホールされたものが支給されるのですが、貧乏プライベーターの私にはそんなものは無く、なるべく山のある新しめのラリータイヤを選び、ショックアブソーバーについては未だ機能する内はそのままで大会に出場していました。

そんな貧乏な私でも、消耗激しいラリータイヤとショックアブソーバーは、数戦に一度新品を買っていたのです。

私がラリー競技に出場していた当時、ラリータイヤもショックアブソーバーも新品を揃えたら、それだけでそれぞれ10万円前後しましたから、スポンサード無しのラリードライバーの貧しさは、売れない吉本の芸人さん並みといった感じでしたね…

そんな私がなけなしの資金を投じて、3戦ぶりに、とあるメーカーのラリー用ショックアブソーバーを新品で購入して、数百km離れた場所で開催された大会に出場したのですが、その帰りに悲劇に見舞われたのです。

1戦しか使用していない、おろしたてのショックアブソーバーが抜けてしまったのです。

シールからオイルが漏れて、一目で駄目になっているのがわかる状況でした。

あと2戦は使う目論見だっただけに、私の落胆ぶりは、ラリークラブの他のメンバーからの同情を誘うに十分でした。

最初は良く考えもせず、製品の不良、メーカー側の瑕疵を疑って不満を抱えていたのですが、良く考えてみたら原因は自分にもあることがわかったのです。

歪んだホイールを使って、数百kmの道程を帰って来たことが、ショックアブソーバーにトドメを刺してしまったかもしれないからなのです。

大会からの帰路、もう次の大会では使えないほど擦り減ったラリータイヤが付いたホイールを選び、わざわざそれらに交換して帰りました。

貧乏なので積載車を借りることも出来ず、自走での帰り道、まだ使えるラリータイヤを減らしてしまうのが嫌だったからなのですが、結果としてその選択が誤りだった可能性があります。

私が選んだタイヤが付いていたホイールが酷く歪んでいたからなのです。

確かに、帰路で高速道路を走行していると、バイブレーションを起こすほど歪んでいました。

その時は、それがどれほどの悪影響を及ぼすのか知りもしないので、そのまま帰って来てしまったのですが、歪んだホイールが引き起こすバイブレーションがショックアブソーバーを破損させたのかもしれないのです。

ご存知の通り、ショックアブソーバーはサスペンションの上下動を抑えて、車両を安定させるためのパーツです。

ショックアブソーバーは、路面からの入力を受ける度に、その入力を減衰させます。

ショックアブソーバーに内蔵されたオイルが、オリフィスという細いバイパスを通る際の抵抗で路面からの入力を減衰するのですが、この抵抗は熱の発生を伴うため、余りに頻繁に入力があると、

「オイルが高温になる→油膜切れを起こす→ショックアブソーバーのシャフトが焼けてスムーズに動かなくなる→壊れてしまう」

となるのです。

私のラリー車に付けたショックアブソーバーは、大会会場からの帰路、歪んだホイールが起こすバイブレーションを抑え続けようとした結果、遂に限界を超えて壊れてしまった可能性が高いというわけなのです。

タイヤをケチったばかりに、歪んだホイールでショックアブソーバーを壊してしまう結果となりました。

貧乏ってツライですね…

 

バイブレーションは車にとって百害あって一利無し。

この時壊れたのはショックアブソーバーでしたが、サスペンションを固定しているボルトナット類は緩みますし、サスペンションブッシュ、ベアリング類も磨耗してしまうからです。

害しかない歪んだホイールは、残念ですが諦めて見切りをつける他ないと思います。

皆さんはこんなバカな選択はしないですよね?

歪んだホイールは使っちゃダメですよ。

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