同じブランドなのに、〇〇が変わると〇〇が異なる不思議なホイール

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同じブランドならば、例えばサイズが変わっても、サイズ以外は全て同じはずなのですが、中には同じブランドなのに何かが異なるおかしなホイールもあります。

今回はそんなちょっと変わったホイールブランドの話を纏めてみました。

 

サイズが変わると、製法が異なるホイールブランド

 

サイズが異なっても、同じホイールブランドならば製法も同じことが当たり前だと普通は考えるのでしょうが、中にはサイズが異なると製法が変わってしまうホイールブランドもあるのです。

 

ブリジストンから発売されているProdriveシリーズがこのパターンに当てはまります。

Prodriveシリーズは、17インチサイズ以上には鍛造製法を採用していても、16インチ以下のサイズには鋳造製法を取り入れることが結構多いのです。

当サイトでも重量計測結果を公開したGC-06DやGC-010は、15インチサイズでは鋳造、17インチサイズでは鍛造となっています。

昔の自動車雑誌に掲載されていたProdrive GC-06Dの広告を見てみると、

「ホイールにタイヤを組み込んだときに最高の性能を発揮するためにはどうしたらいいか。GC-06Dの開発はそこからスタートした。サイズによって異なる強度や軽さへの要求。それを解決するために導き出された答え、それが「サイズ別要求適合製法※(PMSS:Production method suitable by size)」であった。小径の15インチにはコストを抑えつつ強度と軽さを持たせる鋳造の特殊加工、強度や軽さに対する要求がシビアになる大径の17・18インチには鍛造製法、そして中間に位置する16インチは半融解鍛造製法を採用。それぞれのサイズに適した製法を用いることで、我々が求めるトータルバランスに優れたホイール、GC-06Dが生み出されるのである。」

と記載されています。

GC-06Dは鍛造、鋳造以外に、16インチサイズには半融解鍛造製法(SSF製法)を採用していたようです。

何でこんなことをするのか不思議に思うかもしれませんが、ブリジストン自らがホイールを生産していたのではなく、「外部に生産を委託していたから」というのがその答えになるかもしれません。

販売単価を高く設定できる17インチ以上では、製造コストの高い鍛造製法で製造しても十分見合うためRAYSに製造委託、そうはならない16インチ以下のサイズでは、SSRとENKEIに製造を委託したということなのではないでしょうかね。

因みに、SSRが姿を消した後にリリースされたGC-010の16インチ以下のサイズは、全てENKEIに製造を委託されて鋳造製法となったようです。

 

複数の製法が混在するProdriveシリーズですが、中には同じブランドなのに、サイズが変わらなくても、複数の製法が存在したものもあります。

鍛造1ピースホイールとしてデビューしたProdrive GC-05Kですが、デビュー後しばらくすると、その意図は分かりませんが、フローフォーミング製法の鋳造1ピースモデルである、ほぼ同じデザインのCAST”RIMSPINNING MODELを追加します。

鍛造と鋳造のProdrive GC-05K の見た目の差は殆ど無く、CAST”RIMSPINNING MODELの方が、ナットホイール周りのセンターパート部分の凹凸が少ないスッキリとした外観程度の差なので、良く見ないと判別が難しく、買う側が少し混乱するのが問題でした。

 

サイズが変わると、材質が異なるホイールブランド

 

大口径中心のTWSのブランドラインナップの中で、唯一15インチ、16インチサイズが設定されているT66-Fは、16インチ以下と17インチ以上で、材質となるアルミ合金の種類が異なっています。

15インチ、16インチで使用されているアルミ合金は6061材、17インチ、18インチ、19インチで使用されているのはブランド名の由来となっている6T66材というアルミ合金なのです。

T66-Fは全サイズで世界最軽量を目指したため、鍛造の素材そのものから開発を行い、素材メーカーと共同開発した6T66材というのが、そのまま名称に使われているのだそうです。

この6T66材というアルミ合金は、通常の6000系アルミ(6061-T6)よりも高強度で伸びが良く変形しにくい特性を持っており、17インチ以上には、独自の鍛造専用新素材6T66を、16インチ以下には鍛造ホイールの素材として一般的な6061材を使い分けているということですね。

 

 

サイズが異なると、見た目(デザイン)が変わるホイールブランド

 

この手のホイールで一番有名なのはRAYSのCE28Nではないでしょうか?

RAYS CE28N 16inch 7J offset+60mm pcd114.3mm-5H重量計測画像RAYS VOLK Racing CE28N 16inch 7J offset+48mm pcd114.3mm-4H 重量計測画像

10本スポークタイプが一般的なCE28Nですが、同じブランドでありながら、16インチ以下のサイズには8本スポークタイプが用意されています(2020年4月26日現在も)。

CE28Nではナット穴数に合わせて最適なスポーク数を採用しており、4穴タイプのホイールを装着する小排気量の車両向けとなる14から16インチサイズには、8スポークデザインを採用しているそうです。

CE28Nの8本スポークタイプの存在は、外径リムサイズに合わせてというよりナット穴数に合わせての対応のようで、ナット穴が5穴のEK9シビックタイプRが全盛だった時代は、逆に15インチサイズにも10本スポークサイズが存在していました(現在絶版サイズ)。

 

RAYSのCE28N以外ですと、ENKEIの競技用ホイールであるRC-T5も「サイズが異なると、見た目(デザイン)が変わるホイールブランド」に該当します。

ENKEI SPORT RC-T5は、歴代のENKEI SPORTのホイール同様に、エンケイ製のホイールでありながら、株式会社アイ・アール・エスから販売されている競技用ホイールです(競技用とされてはいますが、一般道での使用についても全く問題はありません)。

17インチ以上のサイズでは大胆な肉抜きが施されたディスク部を持つデザイン、16インチ以下では前作RC-T4とよく似たデザイン、サイズによって二種類のデザインを使い分けています。

株式会社アイ・アール・エスのサイトでRC-T5について見ると、

「サイズスペック毎にデザインやスポーク数を変えることによってディスク部剛性を最適化。ディスクとリムの高次元な剛性バランスで、強い外力に対しても常に真円を保ち、優れたドライバビリティを提供」、「長年蓄積されてきた各カテゴリーでのフィードバックとCAE解析データを駆使し、コーナリングスピードの向上に伴いリム剛性も強化。理想的な剛性バランスにより性能を損ねない範囲での軽量化も施し、加減速のレスポンスを改善」

と記載されています。

当サイトでは16インチのRC-T5の重量計測を行ったことがあるので、その画像はあるのですが、比較対象となる17インチ以上のRC-T5は、残念ながら未だ重量計測を行ったことがないので画像が無いのですよね…。

ENKEI SPORT RC-T5 16inch 7J offset+42mm PCD114.3mm-5H 重量計測画像

 

ENKEIの競技用ホイールの系譜を遡ると、RC-T5以外にも「サイズが異なると、見た目(デザイン)が変わるホイールブランド」が存在します。

RC-T5の2代前のターマック用競技ホイールであるES-TARMACのデザインは、サイズによってデザインが極微妙に異なっています。

15インチと17インチのスポークは丸くラウンドしていて同じなのですが、16インチサイズだけが、スポークの角が立っていて平たく、微妙に異なるデザインになっている、ちょっと不思議ホイールなのです。

画像は右が16インチのES-TARMAC、左が17インチのES-TARMACです。

ENKEI ES-TARMAC 17インチと16インチのデザイン比較

この画像からでは分かり難いかもしれませんが、右の16インチのES-TARMACのスポークは表面が平たく、左の17インチの方は少し丸く膨らんでラウンドしているのです。

残念ながら、その理由は当サイトでは調べ切れておりませんが、ES-TARMACは鋳造ホイールなので、鋳型を作成する際になんらの理由で16インチサイズだけ微妙に異なるデザインになってしまったのでしょうね。

 

発売時期が異なると、デザインが変わるホイールブランド

 

ご存知の方は少ないかもしれませんが、TE37は発売当初の初期モデルでは5本スポークだったです。

たまに某オークションでも見かけることがありますが、6本スポークの姿が一般的なRAYSの軽量ホイールTE37の初期モデルとして5本スポークが出品されています。

5本スポークのTE37の重量を計測したことがないので、いつか重量を計測してみたいホイールブランドの一つとなっています。

 

今回の話の冒頭に、「同じブランドならば、例えばサイズが変わっても、サイズ以外は全て同じはずなのですが、中には同じブランドなのに何かが異なるおかしなホイールもあります。」と書きましたが、その違いを生んでいる主な要因は、性能面での最適化か、コスト面での最適化のためと言った感じのようです。

しかし、ENKEI ES- TARMACと5本スポーク版TE37のデザインの違いについては、その理由が当てはまらず未だ謎のままとなりました。

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