フレンチの伝統? 何故か3穴ホイールのスポーツモデル アルピーヌ
やり手のマイクが古い車を買ってきて、それを相棒が再生して売り抜けるというストーリーで構成されている「名車再生!」シリーズは、私の大好きなテレビ番組の一つです。
先日も、この番組に稀少なスポーツカーの一つ、アルピーヌA310が出てきたのですが、そのアルピーヌA310が履いているホイールに私の目はとまりました。
ハイパフォーマンスカー然としたアルピーヌA310が3穴のホイールを履いていたのです。
一般的にホイールの穴数は、車重が重かったり、エンジントルクが大きくなる車種ほど、ホイールを固定するボルトの負荷が高くなり、それに対応するため数が増え、PCDの値が大きくなります。
軽自動車や小排気量の軽量なコンパクトカーは大体4穴で、それよりも車重が重くなる3ナンバー車は大体5穴。
ハイパワーなスポーツカーやハイパフォーマンスカーは当然5穴。
トルクの太い、大排気量のガソリンエンジンやディーゼルエンジンを搭載し、車重も重く、ギア比の設定がローギアードなSUV等は、6穴のホイールを装着するものもあります。
トラックやバスに至っては10穴のホイールを履いていたりするのです。
この例に当てはめると、古いとは言え、純然たるスポーツモデルのアルピーヌA310が、最近のコンパクトカーよりも少ない3穴ホイールを履いていることが、不思議に思わずにいられなかったのです。
現代では4穴以上のホイールがスタンダードですが、ホイールの穴数が3つなのは、最近では2世代目のスマートフォーツーくらいしか無かったと思います。
過去を振り返れば3穴ホイールを装着する車種は結構存在します。
そのほとんどがフランス車であるのも興味深いです。
「ルパン三世 カリオストロの城」の冒頭のカーチェイスシーンで、クラリス姫がステアリングを握り、伯爵の元から逃走を図るのに使用したシトロエン2CVも3穴でした。
しかし、シトロエン2CVの車重や動力性能を考えれば、3穴でも問題なさそうですが、ハイパフォーマンスカーたるアルピーヌA310が3穴ホイールを採用していても問題ないのでしょうか。
その答えは、A310の車重とエンジンパワー、加えてPCDの大きさにあると思います。
アルピーヌA110の後継車であるA310は、鋼管バックボーンフレーム、リアエンジン方式、FRP製ボディーなどA110の設計を受け継いでいます。
車体がFRPだったこともあり、初期モデルのA310の車重は825kgと、充分に軽量だったそうです。
また搭載されたエンジンも、初期の4気筒モデルでは127馬力に過ぎませんでした。
スーパーカーみたいな見た目のアルピーヌA310なのですが、先代A110同様にライトウエイトスポーツというのが実の姿なのです。
その先代A110も3穴ホイールを採用していました。
加えてアルピーヌA310が3穴ホイールを採用できていた理由は、先代A110譲りの(恐らく)150mmと大きなPCDによると思われます。
小さいPCDと比較して、大きな値のPCDならば、固定ボルトへの負担が減るため、PCD150mmということもアルピーヌA310が3穴ホイールを採用出来ていた理由の一つなのだと思います。
アルピーヌA310は、エンジンのパワーアップや車重も増加した後期型から、4穴ホイールに移行しているようです。
フランス車の伝統?ともいえる3穴ホイールは、当時の非力なエンジンと軽量なボディだったからこそ存在していたとも言えるかもしれませんね。
いにしえのフランス車に見る3穴ホイールは、衝突時の安全性の確保や、装備の充実化により、年々車重が増加している現代では、今後現れることはないと思いますね。
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