アルミホイールに関する知財戦略 RAYSの場合

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先日購入したOptionという雑誌に、RAYSの知財戦略に関する記事が出ていました。

ご存知の通りOptionはチューニングカー専門誌であるので、そこに4ページにもわたって、アルミホイールの特許に関する記事が出ることは珍しく、思わず読み込んでしまったのです。

 

そこに記載されていたRAYSの特許は以下6つです。

  • A.M.T.【ADVANCED MACHININIG TECHNOROGY】
  • HYBRID MACHINING
  • REDOT
  • e-PRO COAT
  • 新意匠ダブルカラー+彫刻(名称未定)
  • 新意匠マシニング(名称未定)

 

一番上のA.M.T.から4番目のe-PRO COATまでは特許番号が併記されていたので、既にRAYSの知的財産として権利化が済んでいて、五番目の新意匠ダブルカラー+彫刻は特許査定済み、6番目の新意匠マシニングは特許出願中のステイタスとなっていました。

 

これら6つのRAYSの特許は、何れも意匠(デザイン)に関連深い、表面処理技術に関する特許です。

 

既に権利化された上から4つまでを、RAYSのサイト等で補足情報を得て自分なりに理解すると…

 

A.M.T.は、

A.M.T.は、ブランドロゴのような繊細なデザインを三次元の曲面上にまで再現する切削技術。

これまでステッカーや鍛出し・鋳出しなど金型で表現していたブランドロゴやクレジットが、美しい立体感をもって彫り込むことが可能になっているもの。

切削部分の凹凸には、均すように塗布されたクリア塗装により透明層が形成され、切削部分と透明層が反射により、切削部分の立体感が強調されるもののようです。

 

TE37 SAGAのスポークとリムに施されている切削は、A.M.T.によるものですね。

A.M.T. TE37SAGA スポーク部

A.M.T. TE37SAGA リム部1

A.M.T. TE37SAGA リム部2

 

HYBRID MACHININGは、

特徴は2次元面と3次元面を、異なる金属加工で一つのデザイン面としてつなげ、デザイン性を大きく高められる技術。

ホイールの形状や個体差にも対応して美しい切削が可能で、マシニングのみで加工する場合に比べ加工時間を減らことができるため、コスト面でのメリットも備える特許技術なのだそうだ。

どうやら、二次元のディスク面を旋盤で、三次元の縦壁はマシニングで加工しても、全ての面をマシニングで加工したかのようなシームレスさを実現する技術のようです。

 

REDOTは、

インクジェットのように塗料をドット噴射していくホイールのカラーリングに関する技術。

それまでは、メインカラーと異なるアクセントカラーをホイールに加えるには、治具やマスキングが不可欠で、そのズレによる仕上がり品質低下も起こり得たのが、この技法により、任意のポイント高い自由度でアクセントカラーが施せるようになったとのことです。

最近リリースされたZE40 TIME ATTACK IIのリムに施されたレッドラインはこれによるもの。

TE037 6061 REDOT 2020やTE37SB REDOT 2020等の様に、最近の限定モデルには、その名称にもREDOTの文字が入っています。

 

e-PRO COATは、

切削部のみ通電させて、高品質かつ細やかな塗り分けをスピーディーに実現する技術。

マシニングによってメインカラー部分を切削し、そこに別な色を吹き付ける場合、従来はマスキング処理に頼っていたのを、通電させた切削部だけに塗装を施せるのですから、前述のA.M.T.と関係の深そうな特許技術だと感じましたね。

 

RAYSが、これらの表面処理技術の特許を取得し、広く公開する意義についても記事中に書いてありました。

 

要約すると、

「日本のアフターマーケット市場における90%のホイールが中国製という状況下で、価格競争に巻き込まれずに、高い付加価値をもったホイールを提供すること」

「その高い付加価値を、安易にコピーして提供する同業他メーカーに対して、注意喚起と警告をこめていること」

となるようです。

 

確かに、高価なRAYSのホイールをコピーする例は後を絶ちませんから、しっかり特許を取得して、それを盾にコピーさせない知財戦略が不可欠なのかもしれませんね。

RAYS CE28Nのコピー品にご注意ください

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