タッチアップペイントによるホイールのガリ傷補修のしかた 気を付けるべき3つのポイント
お気に入りの軽量ホイールを履いていると大変気分が良いのですが、その気分を台無しにすることが稀に起こってしまいます。
路肩に寄せて駐車する際に、縁石に擦って付いてしまうスリ傷=ガリ傷です。
価格も高い軽量ホイールにガリ傷は入ると、かなり憂鬱な気分になってしまうことは間違いないです。
一旦ホイールにガリ傷が入ってしまうと、我慢してそのままで行くか、新しくホイールを買い足すか、ガリ傷を補修するか、どれかを選ばざるを得ません。
我慢してそのまま行くのは憂鬱な気持ちが晴れませんし、買い足すとしたらかなりの出費になります。
補修するとしても、業者に依頼すれば買い足すよりは安く済みますが、それなりの金額を請求されてしまうでしょう。
それならば、ホイールのリム傷を自分で補修してみてはどうでしょうか?
自分でホイールのリム傷を補修すれば、費用はせいぜい数千円で済む可能性があります。
但し、「上手く行けば」の話ですが…
ガリ傷にいきなりタッチアップペイントを塗り付けただけの悲惨なホイールを見かけることがあります。
ホイールのガリ傷の補修にはコツがあるのですが、そのコツを知らないまま補修してしまうと、ガリ傷そのものではなく、酷く目立つ補修跡が周りの目を引いてしまう最悪の状態になってしまいます。
そのコツを説明するため、タッチアップペイントでホイールの傷を補修してみた実際の事例を紹介してみます。
事例として取り上げたホイールは、WEDS SPORT SA-70です。
ガリ傷の入ったこのWEDS SPORT SA-70を、カー用品店とホームセンター、場合によっては百円ショップでも揃う物だけで補修してみました。
この時の補修に使用したのは以下7点、購入金額も数千円といったところでしょう。
- タッチアップ塗料(数種類)
- タッチアップうすめ液
- アルミパテ
- シリコンオフ(脱脂剤)
- 耐水ペーパー(粗目100番から細目1000番くらいがセットになっているもの)
- 塗料を混ぜる容器
- 筆
これ以外に試し塗りの塗装を拭うボロ布も用意した方が良いでしょう。
遠目の画像では傷が分からないですが、このSA-70は4本のスポークに傷があります。
このホイールは、スポークがリムまで届くリムオーバーデザインで、フランジよりもスポークが外に出るオーバーフランジデザインでもあります。
この手のデザインのホイールは、外径が大きく見えるのが良い点なのですが、路肩に寄せ過ぎると、リムではなく、スポーク部分に派手に傷が入るのが難点だと言えるでしょう。
ガリ傷補修の作業に入る前に、ホイールを綺麗に洗っておきましょう。
ホイールの汚れが落ちれば良いので、車のボディ用シャンプーでも、食器用洗剤を使って洗っても全く問題ありません。
先ずは傷の具合を確認します。塗装の層だけに傷が入っているのならば、耐水ペーパーで塗装の傷を均すだけで良いのですが、ここまで傷が深いとアルミパテで傷を埋める必要があります。
アルミパテは硬化剤と混ぜてから、ガリ傷に塗布します。その前に必ずシリコンオフで脱脂が必要です。
傷に押し込む様にしてパテを塗布します。
パテを塗布したら、固まるまで暫し待ちます。
アルミパテが硬化したら、耐水ペーパーで平らに均して行きます。
この作業により深い溝状の傷にアルミパテが入り込み、それを耐水ペーパーで削ることで平らに均すことができるのです。
均した後はこんな感じです。
次に試し塗りです。極稀に購入してきたタッチアップペイントがバッチリ合うことがありますが、殆どの場合は現状に合わせて調色する必要があります。
先ずは最も近い色と思われるタッチアップペイントを塗ってみましょう。その前にもシリコンオフで脱脂することをお忘れなく!
ゴールドのタッチアップペイントでは黄みが強めで、ブロンズのホイールには合わないことが良く分かります。
乾き切る前にボロ布で丹念に拭き取り、シリコンオフで再度脱脂します。
ゴールドからブロンズにするため、ガンメタリックを混ぜてみました(その前にシルバーメタリックを混ぜてみたら薄いシャンパンゴールっぽくなってしまったので2回目の調色です)。
今度の色合いは良い感じであることが確認できました。
色合いが良いと判断出来たら、薄く塗っては乾かし、また薄く塗るを繰り返します。
一気に厚く塗ろうとすると、ペイントの液垂れ等を起こしますので、焦らず何層にも塗装を重ねます。
塗料が足りなくなったら、覚えておいた調色比率で同じ色合いのタッチアップペイントを再調合することも必要になります。
タッチアップのコツは傷のある部分だけタッチアップするのではなく、ラッカーやシンナーといったタッチアップペイント用のうすめ液でタッチアップペイントを薄め、傷の上に塗ったタッチアップペイントの境目から徐々に色合いを薄した塗料を塗ることでボカシを入れます。
グラデーション効果によりガリ傷の上に塗ったタッチアップの色が目立たなくなるのです。最終的にはこんな感じになりました。
アップ画像はこんな感じです。
補修箇所をもっとアップにするとこんな感じです。
今回の補修では、調色は比較的上手く行った感じですが、塗装の下に傷後が少し確認できますので、下地処理が今一歩足りていなかったと言えるではないでしょうか。
この後しっかり乾燥させ、細目のコンパウンドで軽く拭き(強く拭くとせっかく塗ったペイントが剥げるので注意が必要です)、ワックス等かけると一層目立たなくなります。
ホイールのガリ傷の補修手順を整理すると、
傷を均す下地作り→試し塗り→調色→本塗り→乾燥→磨き
といった感じになります。
あわせて、アルミホイールのガリ傷補修作業において気を付けるべきポイントも整理してみました。
ホイール ガリ傷の補修の3つのポイント
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パテなどを使用し、傷は丁寧に均すべし。下地作りが大切
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タッチアップペイントを複数使って必ず調色すべし。
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仕上げは、タッチアップペイントを薄めて、タッチアップ箇所との境目をぼかすべし
一に下地、二に調色、三にボカシというのが、タッチアップペイントによるホイールのガリ傷補修のポイントです。
これだけ気を付ければ、「どんなホイールであってもガリ傷を綺麗に補修できるか?」と言えばそうでもないのです。
気温も塗料の乾燥に大きな影響を及ぼします。冬場は塗料が綺麗に乾かない、ムラになりやすいので補修をするには不向きなのです。
春から秋にかけて行う方が綺麗に仕上がります。
また、ホイールの色や状態によっては素人が手出ししない方が良いものもあります。
〇素人が補修しやすいホイール
白、マットブラック等の塗装でメタリックが入っていないカラーのホイールは調色が比較的簡単なので補修がしやすいです。それよりもメタリック系カラーのホイールの方が調色の難易度が高いと言えるでしょう。
メタリック系のペイントにマット系のペイントを混ぜるとくすんだメタリックになってしまうので、必ずメタリック系のペイント同士を調色する必要があります。
〇素人では補修を諦めた方がよいホイール
素人が補修できる傷の深さはパテで修復できる5ミリ程度の引っ掻き傷まででしょう。
欠けてしまっていたり、抉れたようなホイールは、パテでは強度を確保できないので、プロに補修をお任せしましょう。
傷の程度とは関係なく、メッキ処理された様な色合いのクローム系のカラーリングのホイールは、タッチアップペイントの調色では再現不可能なので、これも素人が補修することは諦めた方が良いと思います。
どうでしょう、これを見てあなたは自分でガリ傷を補修しますか?それともDIYは諦めて、プロにお任せしますか?
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