同じ自動車メーカーが販売する車種であっても、ホイールのPCDの値や穴数は異なります。
PCDやホイールの穴数は、それを装着する車によって変わらざるを得ないからなのです。
車重が軽かったり、エンジンの力が小さかったりすれば、ホイールにかかる負担も小さいため、穴数は少なく且つPCDの値は小さくなります。
その昔のシトロエンや1代前のスマート等は3穴タイプでしたし、逆にトラック等では10穴の大口径PCDのホイールを使用しています。
エンジンパワーが大きいスポーツカー、車重が重いビックセダンやSUVの穴数は5穴以上で、PCDの値も大きめになることが普通です。
そのためPCDの値は自動車メーカーによって、車種によって異なっているのです。
今回はバリエーションが多彩なPCDの採用状況を自動車メーカー別、車種別にまとめてみました。
国産車 殆どがPCD114.3mm-5H、PCD100mm-5H、PCD100mm-4Hのどれか
国産現行車は殆どの車種がPCD114.3mm-5H、PCD100mm-5H、PCD100mm-4Hのどれかに該当します。
この中でPCD100mm-5Hはかなり少数派といえるでしょう。これ以外に一部PCD120mm-5Hの車種も極稀に存在します。
少数派であるPCD100mm-5Hの国産の車種を挙げると、
スバル:インプレッサ、XV、レガシィ、エクシーガクロスオーバー7、BRZ、フォレスター
トヨタ:プリウス、86、カローラスポーツ
レクサス:CT
という感じです。
稀なPCD120mm-5Hの国産の車種を挙げると、
レクサス:レクサスLS(USF40系)
ホンダ:レジェンド(KB1・2)、FK2・FK8シビックタイプR
くらいですかね…
少しややこしい国産の車種を挙げておきます。
スバルだからPCD100mm-5Hだと決め付けるのは早計です。
スバルでも、最近の車種ははPCD114.3mm-5Hになっている車種もあります。
インプレッサSTI GDB(型)以降、スバルはハイパフォーマンスモデルにPCD114.3mm-5Hを採用するようになりました。
また、新型にモデルチェンジする際にPCD114.3mm-5Hに移行する車種も増えてきています。
レガシィB4/アウトバックは、2014年にBM/BR系からBN/BS系にモデルチェンジする際に、フォレスターは2018年にSJ系からSK系にモデルチェンジする際に、PCDをこれまでの100mm-5Hから114.3mm-5Hに変更しています。
トヨタプリウスもプリウスαだけはPCD100mm-5HではなくPCD114.3-5Hになっているため注意が必要です。
最新のトヨタのGR86、スバルBRZは引き続きPCD100mm-5Hのままですけどね…
国産車は比較的PCDの種類が(これでも)少ないのですが、輸入車のPCDはバリエーションが豊富です。
先ずはドイツ車から
ポルシェ ほぼ全車種がPCD130mm-5H
ポルシェはマカンを除きPCD130mm-5Hです。
AudiQ5とプラットフォームが共通であるマカンだけはPCD112mm-5Hとなっています。
例外が少なくて非常に分かりやすいですね。
メルセデス ほぼ全車種がPCD112mm-5H
メルセデスはGクラスを除きPCD112mm-5Hです。
例外のGクラスだけPCD130mm-5Hとなっています。
こちらも例外が少なくて非常に分かりやすいですね。
VW・Audi コンパクトと大型SUVを除き大半の車種がPCD112mm-5H
最近のモデルに限ってみれば、UP(4H)とポロ(5H)、ポロとプラットフォームを共有するA1・S1(5H)はPCD100mm。
ポルシェカイエンとプラットフォームを共有するトゥアレグとQ7はPCD130mm-5Hとなっています。
これ以外の車種はPCD112m-5Hに統一されていています。
ただ、A3等を含めゴルフ4以前のプラットフォームではPCD100mm-5Hだったので古いモデルはちょっと注意が必要ですね。
BMW これまではPCD120mm-5H、これからはPCD112-5H?
BMWはPCD120mm-5Hの車種が主流なのですが、徐々にPCD112mm-5Hを採用する車種が出てきました。
最近発売されたFFプラットフォームの2シリーズ、X1だけがPCD112mm-5Hなのかと思っていましたが、色々と調べてみたら最近は7シリーズやi8、X4もPCD112mm-5Hになっています。
もしかしたら今後のBMWはこれまでのPCD120mm-5HからPCD112mmに移行していくのかもしれません。
これから発売されるBMWのPCDの値にちょっと注目です。
MINI 昔はPCD100-4H、例外を挟んでF系からはPCD112mm-5H
形式名の最初がR系だった以前のMINIはPCD100mm-4Hでした。
しかし、R60クロスオーバーとR61ペースマンだけはPCD120mm-5Hを採用したので、その後のMINIは「BMWの傘下らしくPCD120mm-5Hを採用していくのか?」と思いきや、2013年発売のF系MINIからは全ての車種でPCD112mm-5Hを採用しています。
その当時は不思議な感じがしていたのですが、前述のBMWの変化を見ると納得できる動きと言えるのでしょう。
とりあえずジャーマン勢はこれくらいにしておきます。
今後のBMWの動きによっては、ドイツ車のPCDは112mm-5Hに収斂していく可能性がありますね。
次にフランス車のPCDを見てみましょう。
ルノー 一部例外を除き、4穴はPCD100mm、5穴はPCD108mm
日産とのコラボ車種であるコレオスだけはPCD114.3mm-5Hですが、それ以外のPCDは、4穴がPCD100mm、5穴がPCD108mmに統一されています。
例外が少なくて非常に分かりやすいですね。
プジョー・シトロエン 4穴も5穴も全ての車種がPCD108mm
プラットフォームを共有しあうプジョーとシトロエンに車種は例外なくPCD108mmです。
こちらも非常に分かりやすいですね。
フランス車はレアなケースを除き、PCD100mmかPCD108mmしかないのですね。
次にイタリア車を見てみましょう。
アルファロメオ これまで98mm、これからは110mm?
一昔前のアルファロメオは4穴、5穴共にPCD98mmでした。
しかし、アルファロメオ159、ブレラ、ジュリエッタといった最近の車種ではPCD110mm-5Hを採用しています。
この流れからするとアルファロメオはPCD110mm-5Hに全て移行するのかとおもいきや、Mitoや4Cでは98mmに逆戻りしてしまっていて、今後の方向性が今一つ見えない感じがしています。
全ての車両がPCD110mm-5Hに移行するのではなく、車体の大型化が進むCセグメントの車両以上はPCD110mm-5Hに、車両重量の軽いコンパクトカーやライトウエイトスポーツはPCD98mmのまま残るのかもしれません。
FIAT これまで98mm、これからは110mm?
アルファロメオを同じグループに抱えるFIATも一昔前まで4穴、5穴共にPCD98mmでした。
しかし、グランデプント・プントエヴォだけはPCD100mm-4Hを採用し、FIAT500XではPCD110mm-5Hを採用しています。
今後は全てPCD110mm-5Hに全て移行するのかは分かりません。
アルファロメオ同様にPCD98mmも残るのか?今後が注目されます。
イタリア車でもスーパーカーについては今回触れません。
ですがイタリア車でちょっと不思議な存在のランボルギーニ アベンタドールだけには触れておきます。
アベンタドールのPCDはフロントが112mm-5Hで、リアが120mm-5Hなのです。
不思議なことにPCDが前後でサイズが異なるのです。パンクしたらどうするのでしょうかね…
イタリア車はこれくらいにしておきますね。
最後は北欧のボルボのPCDについてです。
ボルボ 初代V40以外は全てPCD108mm-5H
ボルボの中で三菱との合弁会社ネッドカーで製造されていた初代V40だけはPCD114.3mm-4Hですが、それ以外は全てPCD108mm-5Hになっています。
非常に分かりやすいですね。