アルミホイールは車種によって装着できるサイズが異なります。
おまけにカッコ良さを重視したツライチセッティングともなりますと、サイズ選択を間違えれば、車体からはみ出してしまったり、フェンダーやサスペンションに干渉してしまう等のトラブルを招きかねません。
社外ホイールを購入する場合は、ホイールメーカーの適応サイズ情報に従って購入するのが一番無難な選択でしょう。
それ以上にツライチを目指すとしたら、サイズ選択が非常に重要になってくるのですが、そういった情報がまとめられているわけではないので、探すのには結構骨がおれるのです。
当サイトでは、車種ごとに純正ホイールサイズと、主要ホイールブランドにおける適応サイズを纏めていくことにしました。
第19回目の対象車種には、「可愛らしいコンパクトボディをサソリの毒で武装した」アバルト595を選んでみました。
アバルト 595は、2013年に日本国内50台限定で発売された50周年記念車「アバルト 595 50th Anniversary」から始まり、正式なカタログモデルになった後も、いくつかの限定バージョンを加え、この原稿を書いている2023年4月現在も販売されているモデルです。
アバルト 595は、ベースモデル以外に、上位モデルのツーリズモと最も高性能なコンペティツィオーネが存在しています(2023年3月以降ツーリズモとコンペティツィオーネは695に)。
では、これらアバルト 595に使用可能なホイールサイズはどのようなものなのでしょう。
アバルト 595の純正ホイールサイズ
先ずは、基準となるアバルト 595の純正ホイールのサイズを確認してみます。
17インチ 7J offset+38mm PCD98mm-4H
タイヤサイズは205/40R17 ですね。
16インチ 6.5J offset+35mm PCD98mm-4H
タイヤサイズは195/45R16 ですね。
因みにハブ径は全て58.1mmです。
アバルト 595、595ツーリズモは16インチも17インチも装着が可能で、ブレンボキャリパーを備えた595コンペティツィオーネは、17インチのみとなっているようです。
アバルト 595の純正ホイールにおけるハブ接合面から内外両側のリムまでの距離
次に、基準となる純正アルミホイールのサイズから、内外のリムがどの位置にあるのかを確認しておきましょう。
純正ホイールは道路交通法上問題のないサイズに設定されています。
17インチ純正ホイールの7Jのリム幅をミリ単位に換算すると、177.8mm(25.4×7)になります。
16インチ純正ホイールの6.5Jのリム幅をミリ単位に換算すると、165.1mm(25.4×6.5)になります。
ホイールのリム幅の中心線は、内外のリムからの半分となるところにありますが、ハブ接合面は外リム側に、それぞれ38mmと35mmオフセットしているので、17インチ純正ホイールのハブから外側のリムまでの距離は177.8/2-38=50.9mm、逆に内側のリムまでの距離は177.8/2+38=126.9mm、16インチ純正ホイールのハブから外側のリムまでの距離は165.1/2-35=47.55mm、逆に内側のリムまでの距離は165.18/2+35=117.55mmとなります。
16インチ純正ホイールの方が、表リムで3mm、裏リムで9mmくらい余裕があるってことですね。
と言うことは、17インチ純正ホイールの方が、サイズ的には厳しいものになっているってことになると思います。
その17インチ純正ホイールのサイズから、アバルト 595への装着に支障がないと思われるセイフティサイズを導き出すとしたら、フロントはハブ接合面から外側に50.9mm、内側に126.9mmの範囲に収まるホイールサイズならば、装着に関して何ら問題はないと判断できますね。
大抵の国産車の場合は、太さ8-10mm位はあると思われるタイヤチェーンを取り付けたとしても、特に問題が起きないように純正ホイールのサイズ設定されているのですが、外車の純正ホイールはタイヤチェーンの装着を想定していないことが多く、純正ホイールのサイズでも、結構ツライチになっていることが多いのです。
アバルト 595の純正ホイールのサイズも、国産車の純正ホイールのサイズのように、セイフティサイズではなく、本当にギリギリサイズになっている可能性もあると思います。
それでは、上記を踏まえてアバルト 595の社外ホイールのサイズを見ていきましょう。
※2023年4月3日時点の情報です
アバルト595社外ホイールのサイズ
いつものパターンで、ホイールメーカーを代表して、鍛造ホイールの代名詞とも言うべきRAYSと、鋳造ホイールの代表ENKEIの製品の中から、PCD98mm-4Hのアバルト 595用とされているものをピックアップしてみたところ、ENKEIはGTC02のみ、RAYSはTE37 SAGA SLとZE40 TIME ATTACKⅢしか該当しませんでした。
流石にそれでは「アバルト595の社外ホイールのサイズ情報を纏めました」と言えないので、他のホイールブランドを調べたところ、OZとADVAN RacingにPCD98mm-4Hサイズが豊富に取り揃えられていることがわかったので、今回はENKEI、RAYSに加えて、OZとADVAN Racingのホイールサイズ情報もまとめています。
ホイールメーカーのサイズ情報に注記が付いていた場合は、以下に個別に付記しています。
サイズの後ろの赤字の数値は、アバルト595の17インチ純正ホイールと比較して、どれだけ表リムが外に出るかを表しています。
01. 16inch 6.5J offset+37mm PCD98mm-4H -5.35mm
OZ SPARCO TROFEO:注記無し
02. 16inch 7J offset+37mm PCD98mm-4H 1.0mm
OZ Ultraleggera:ビックキャリパー不可
OZ Superturismo-GT:ビックキャリパー不可
OZ Superturismo-WRC:ビックキャリパー不可
OZ SPARCO TERRA:バランスウェイト注意
03. 16inch 7J offset+35mm PCD98mm-4H 3.0mm
OZ Rally Racing:注記無し
OZ Ultraleggera:バランスウェイト注意
04. 16inch 7.5J offset+35mm PCD98mm-4H 9.35mm
ADVAN Racing RG-D2:注記無し
ADVAN Racing RZⅡ:注記無し
05. 17inch 7J offset+37mm PCD98mm-4H 1.0mm
OZ Formula-HLT:ブレンボキャリパー不可
OZ Rally Racing:注記無し
OZ Ultraleggera:ビックキャリパー不可
OZ Superturismo-LM:ビックキャリパー不可
OZ Leggenda:ビックキャリパー不可
06. 17inch 7J offset+35mm PCD98mm-4H 3.0mm
OZ Rally Racing:注記無し
OZ Ultraleggera:注記無し
OZ Superturismo-GT:注記無し
OZ Superturismo-WRC:注記無し
07. 17inch 7J offset+30mm PCD98mm-4H 8.0mm
OZ Rally Racing:注記無し
OZ Ultraleggera:注記無し
OZ Leggenda:注記無し
08. 17inch 7.5J offset+36mm PCD98mm-4H 8.35mm
RAYS TE37 SAGA SL:注記無し
09. 17inch 7.5J offset+35mm PCD98mm-4H 9.35mm
ENKEI Racing Revolution GTC02:注記無し、装着イメージ画像にABARTH 595あり
ADVAN Racing TC-4:注記無し
ADVAN Racing RG-4:注記無し
ADVAN Racing RG-D2:注記無し
ADVAN Racing RSⅡ:注記無し
ADVAN Racing RZⅡ:注記無し
OZ SPARCO PROCORSA:注記無し
10. 17inch 7.5J offset+34mm PCD98mm-4H 10.35mm
RAYS ZE40 TIME ATTACKⅢ:参考サイズと注記あり、販売店要相談、自身で判断と明記
11. 17inch 7.5J offset+33mm PCD98mm-4H 11.35mm
ADVAN Racing RG-4:注記無し
12. 17inch 7.5J offset+30mm PCD98mm-4H 14.35mm
ADVAN Racing RG-D2:注記無し
13. 18inch 7J offset+35mm PCD98mm-4H 3.0mm
OZ Hyper GT-HLT:注記無し
OZ Superturismo-WRC:注記無し
RAYSとENKEI、OZとADVAN Racingのスポーツホイールでは、上記13サイズがアバルト595用として使用できそうだと思われます。
但し、RAYSとOZはアバルト595用と明らかにしていますが、ENKEIとADVAN Racingはアバルト595用とは明記していませんし、注記もないので注意が必要です。
その点、OZはアバルト595用と明記している上に注記情報が細かいので、今回はOZの情報を基に考察してみたいと思います。
純正17インチホイールは、リム幅7J、offset+38mmです。
これと比較して、表リムが1mm外に出るサイズNo.02とNo.05ですが、このサイズのホイールの内、OZ RallyRacing以外はブレンボ・ビックキャリパー不可となっています。
純正ホイールと殆ど同じサイズなのですが、595コンペティツィオーネでは、ブレーキキャリパーが当たってしまって装着できないということなのです。
それよりも更に2mm、純正ホイールサイズ比では3mm表リムが外に出るサイズNo.03とNo.06ならば、ブレーキキャリパーの大きい595コンペティツィオーネでも問題無いようです。
ですが、16インチサイズのOZ Ultraleggeraは、「バランスウェイト注意」の注記がありますので、リムとブレーキキャリパーのクリアランスはギリギリみたいですね。
外径が16インチと小さく、リム幅も最も細い6.5Jしかない、サイズNo.01のOZ SPARCO TROFEOに注記はありませんが、サイズ的にはブレーキキャリパーの大きい595コンペティツィオーネには取り付けられないと思います。
こちらはベースモデルの単なる595用と考えた方が良いでしょう。
ブレーキキャリパーへの干渉しないサイズという観点で見れば、リム幅は7J以上で、オフセットは+35mm以上は必要だということになります。
加えて16インチサイズを選択する際は、バランスウェイトの厚みにも注意が必要だということも分かりました。
では、アバルト595用のホイールで、フェンダーから突出しないツライチギリギリのサイズはどれくらいなのでしょうか?
RAYSの2つのホイールの内、純正ホイールサイズ比では8.35mm表リムが外に出る、サイズNo.08のTE37 SAGA SLには注記がありませんが、それより表リムが2mm外に出る、サイズNo.10のRAYS ZE40 TIME ATTACKⅢには、参考サイズと注記があり、「販売店に相談が必要で、装着は自分で判断しろ」との注意が促されています。
サイズNo.08より1mm、純正ホイールサイズ比では9.35mm表リムが外に出る、サイズNo.09のOZ SPARCO PROCORSAにも注記がありません。
詳細な注記を記載しているOZの情報なので、この点はかなり信頼できると思います。
逆にADVAN Racingの注記は当てにならないので、恐らくサイズNo.08と09辺りがツライチギリギリのサイズなのではないかと推察しています。
サーキット走行向けアバルト595用ホイールサイズ
ここからは雑誌に記載されていた情報です。
サーキット走行向けのサイズですが、レブスピードVol.375(2023年3月号)に記載されていた筑波スーパーバトル参戦車両の情報から、アバルト595に限定してショップデモカーが装着しているホイールサイズの情報をピックアップしてみました。
A PIT AUTOBACS SHINONOME:TWS RS317 FR:17inch 7.5J +35mm
CRUISE:ASSO PARTIRE FR:16inch 7J +33mm
これらのデモカーに装着されているホイールも、決して驚くようなサイズを選択しているわけではありませんでした。
※注釈
「ここに記載したホイールサイズ情報は、車両の個体差によってははみ出るリスクのあるものも含まれています。当サイトでは、そのサイズのホイールの装着を推奨するものではないことをお断りしておきます。」