TE37からTE37 SAGAへの進化を比較検証
念願だったRAYS VOLK RACING TE37 SAGAの重量計測結果をようやく公開出来たので、今回はベースモデルの旧世代TE37からTE37 SAGAへの進化を確認してみました。
先ずは両者の重量を比較してみましょう。
比較するのはPCDだけ異なるものの、それ以外サイズは同一の旧世代TE37とTE37 SAGAです。
TE37:18inch 7.5J offset+48mm PCD114.3mm-5H 7.4kg
TE37 SAGA:18inch 7.5J offset+48mm PCD100mm-5H 8.2kg
RAYS VOLK Racing TE37 18inch 7.5J offset+48mm PCD114.3mm-5H 重量計測結果
重量だけ見れば、TE37 SAGAは旧世代のTE37比で800gの重量増となっています。
TE37 SAGAは、軽さも売りとするスポーツホイールですから、重量面では後退したと思われるでしょうが、この800g増は進化の現れでもあるのだと思います。
1996年にテンロククラスのライトウェイトスポーツ向けに15インチサイズからデビューしたTE37は、それ以上のクラス向けに16インチ、17インチ、18インチとサイズを拡大していきました。
その間、ホイールを取り付ける車両はハイパワー化し、重くなり、タイヤのグリップ性能も大幅に向上していることから、かかる負担の増加に対応するため、強度・剛性の向上が求められ、TE37は2018年にTE37 SAGAへと進化することで対応してきているのです。
では、TE37 SAGAのどのような部分が強度・剛性を向上させているのでしょうか?
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スポーク裏側の形状変更
スポーク裏側が平坦な板状の旧世代のTE37(白)に対し、両端がコの字状に折り返されて強度アップが図られているTE37 SAGA(ダイヤモンドダークガンメタ)のスポークの裏側。
800gの重量増は、スポーク裏側両端のコの字状の折り返しの部分が増えたことによるものだと考えられますが、平坦な板状の旧世代のTE37よりも明らかに剛性がアップしていることが見て取れますね。
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インナーリムの強化
見た目に判る部分ではありませんが、TE37 SAGAのインナーリムは、剛性を向上させるためにインナーリムフランジが強化されているようです。
恐らくTE37 SAGAのインナーリムフランジ部分は、旧世代のTE37に比べて厚みを増しているのではないかと思われます。
TE37 SAGAは、剛性を上げることによりコーナリング時など、高荷重状態でのリムのヨレを抑制、結果として狙い通りのコーナリングを実現することはもちろん、無駄な舵角を減らしロスを抑制しているのだそうです。
旧世代のTE37自体は今も販売されてはいますが、2022年現在では負荷の小さいコンパクトカーに装着されることを想定した14インチサイズに限定されていることや、TE37 SAGAが開発された背景を考えると、1990年代後半に比べて、重くてハイパワーになった現在の車両に装着するには旧世代のTE37では剛性面で明らかに役不足だと言うことなのだと思います。
仮に自分の車に装着可能な旧世代のTE37があったとしても、サーキット走行等の高負荷がかかるシチュエーションでは使用しない方が無難でしょう。
そう言う状況においては、TE37 SAGAの方が適していると断言できます。
そのTE37 SAGAですら2021年に、100-120gの重量増加と引き換えに更なる高剛性化、高強度化を実現したTE37 SAGA S-plusにバージョンアップしたことを考えると、今後はTE37 SAGAですらサーキットでの使用では剛性不足を感じる時代が来るかもしれません。
TE37 SAGA S-plusの重量計測の機会があれば、今度は通常のTE37 SAGAとの比較をやってみるつもりでいます。