マルチピッチタイプのホイールに銘品無し?
最近のスポーツホイールではマルチピッチタイプのホイールを見かけなくなりました。
マルチピッチタイプとは、例えば、同じホイールをPCD100mmの車両にも、PCD114.3mmにも取り付けられるように、異なる2種類のPCDで、ボルト穴が設けられているホイールのことです。
15年以上ホイールの重量を測り続け、500近いホイールを撮影して来ていますが、当サイトlightweightwheels.jpの重量ランキングにもマルチピッチタイプのホイール重量データは存在していません。
最近のスポーツホイールにはマルチピッチタイプのホイールは存在していないのです。
RAYS CE28の様に、ボルト穴の間を軽量化のために肉抜きしているホイールがありますが、それらは見た目が似ているだけで、マルチピッチタイプのホイールではないのです。
記憶を辿ると、スポーツホイールでは、1990年代に、数少ないマルチピッチタイプのホイールがありました。
WEDSのTC-05とSSRのTYPE Xです。
この二つのホイールブランドはサイズによってはマルチピッチタイプが設定されていたのです。
WEDSはTC-05の後継モデルとしてTC-005やTC105Nをリリースしますが、TC-05の後にはマルチピッチタイプはリリースしていませんし、SSRも同様に、TYPE Xの後にリリースされたTYPE C、TYPE Fにはマルチピッチタイプは存在していないのです。
ホイールメーカーは何故マルチピッチタイプのスポーツホイールを発売しなくなったのでしょうか?
複数のPCDに対応できるマルチピッチタイプのホイールは、PCDが異なる車両に取り付けられるので、それを購入した人にとっては、PCDが異なる車に買い替えても、引き続きそのホイールを取り付けられる利点があります。
また、ホイールメーカーにとっても異なるPCDのホイールを生産し、それぞれ在庫管理するより、マルチピッチタイプとすることで可能になる大量生産や、一括で在庫管理できることによるコストダウンというメリットもあったと思います。
1980年代まで、国産車のPCDは長らく100mm-4Hと114.3mm-4Hの2タイプが主流でしたが、現在は5穴のホイールや、レクサスの一部、シビックTYPE-RのようにPCD120mmの車種もありますし、国産車ではなく112mm-5Hなどの輸入車を選択する人も多くなっています。
だから、1980年代、1990年代のように、一度買ったホイールを別な愛車でも使用するケースは殆ど無くなったと言えるでしょう。
また、ホイールメーカーはホイールメーカーで、各ホイールブランド毎に適応車種を絞り、一つのホイールブランドで多くの車種に対応しないような商品展開をしていますので、今や汎用性を持たせたサイズ設定をしていないと思うのです。
ということもあり、マルチピッチタイプのスポーツホイールは、最近リリースされなくなったと考えられます。
タイトルでは「マルチピッチタイプのホイールに銘品無し?」なんて書いていますが、その昔はWEDSのTC-05とSSRのTYPE Xという銘品ホイールが存在していましたし、今は名の通ったスポーツホイールを製造しているメーカーでは、そもそもマルチピッチタイプのホイールを製造していないだけと言った方が良いのだと思いますね。
さて、マルチピッチタイプのホイールにはPCDが異なるだけでなく、穴数が異なるタイプも存在します。
画像は114.3mm-5Hと4Hを兼ねたホイールです。
このタイプには銘品は無いと言っても差し障り無いと思います。
ボルト穴が不均等に並んでいるのが分かると思いますが、これだと回転バランスに影響が無いとは言えないでしょう。
少なくともスポーツホイールとして見れば、この手のマルチピッチタイプのホイールに銘品無いと思っています。