自動車用ホイールの材質の違い、アルミ合金の話し

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「シャレード デ・トマソの純正ホイールがマグネシウムホイールだった」という話しを先日投稿したばかりですが、それと関連して、今回は自動車用ホイールの材質となるアルミ合金についての話しをまとめてみました。

 

国産コンパクトカーに驚きのスペックの純正ホイール

 

自動車用のホイールは金属製であることが一般的ですが、その素材はスチールとアルミニウム合金に大別されます。

 

スチールはさて置き、ホイールの材質となるアルミニウム合金に目を向けると、一般的なアルミ合金だけでなく、マグネシウムや超々ジュラルミンといったものも含まれます。

 

「マグネシウムホイールをアルミ合金製と言って良いのか?」というご意見はあると思いますが、マグネシウムホイールといえども、その素材は純度100%のマグネシウムではなく、アルミニウムを含有していますので、広義の意味ではアルミニウム合金製といっても差し支えないと考えています。

 

そもそも、ホイールの材質となるアルミニウム合金も、厳密に言えば純度100%アルミニウムではなく、アルミニウム以外の元素も配合されているものなのです。

 

配合する元素やその量によって、アルミニウム合金の特性は大きく変化するため、使用する用途に合わせて、特性を変化させた多種多様なアルミニウム合金が存在しています。

 

因みに、多種多様なアルミニウム合金には、米国アルミニウム協会が定めた国際規格番号やJIS規格番号がそれぞれ振られているのです。

 

※参考

https://www.izumi-metal.co.jp/product/product05.html

 

この規格番号は、アルミホイールの商品説明の内容にも、たまに見かけることがあります。

 

具体例を挙げると、Buddy club P1 Racing QFは、当時の商品説明の中でA6061材を使っているとありましたし、RAYS TE037 DURAは、『超超ジュラルミン「A7075材」をRAYSオリジナルデザイン金型工法で・・・』と説明文の中に規格番号が使われていました。

 

話を自動車用ホイールの材質に戻します。

 

純度100%の金属の比重は、軽い順に、マグネシウム1.74、アルミニウム2.70、スチール7.87となっていますので、マグネシウム合金、アルミニウム合金のホイールはスチールに対して重量面で有利になることは間違いないでしょう。

 

加えて、アルミニウムは、スチールと比べて熱伝導度は約3倍という素材なので、ブレーキディスクの熱を放熱しやすいという特性もあります。

 

その意味ではアルミ合金は自動車用ホイールの材質として打って付けだと言えると思います。

 

軽量ホイールの代表はマグネシウムホイール

 

軽さだけに目を向けると、最も比重の軽いマグネシウム合金から製造されるマグネシウムホイールは軽量ホイールの代表格です。

 

重量がアルミニウム合金の約3分の2となるマグネシウムを多く含む合金は、非常に軽量で、それを使って製造されるホイールは軽いため、ばね下の重量が軽減され、車両の運動性能の向上に寄与します。

 

よく言われている軽量ホイールのメリットが最大限に生かされたホイールになるわけですね。

 

その一方で、金属の特性上腐食に弱く、衝撃に対して脆いこともあり、防錆処理や耐久性の高い塗装、熱処理・表面処理等の手間がかかることから価格も高めとなるのです。

 

そのため高額な車種の、中でも軽量スペシャルモデルに採用されるに留まることが多いのです。

 

強度に優れた超超ジュラルミンホイール

 

超超ジュラルミンは、アルミニウム合金の一種で、アルミニウム合金の中でも、最高の強度と耐久性を持つのがアルミニウム7000系合金である、規格番号A7075と呼ばれるものです。

 

その一方で、強度があるが故に、ホイールのような複雑な形状に変形させることに不向きだったり、腐食や経年劣化による強度の低下しやすいなどの弱点もあるようです。

 

しかし、その弱点を克服したBBSが、2011年に量産化に成功し、RI-Dを発売することで超超ジュラルミン鍛造 1ピースホイールの先鞭をつけました。

 

その後、RAYSも超超ジュラルミンを素材に採用したTE037 DURAを発売してそれに続いています。

 

軽さではマグネシウムホイールに分があるのですが、強度・耐久性では超超ジュラルミンが勝ることから、ホイールの大口径化、タイヤグリップの向上や車重が増加している現状で、強度・剛性を確保するため、超々ジュラルミンがホイールの材質として選択されたのも頷けるというものです。

 

製法によっても使用されるアルミ合金は異なる

 

プレス機で圧力をかけながら成形する鍛造ホイールと、型枠に流し込んで成形する鋳造ホイールとではそれぞれ材質となるアルミ合金が異なるようです。

 

鍛造ホイール用としては主にA6000系となるアルミ合金、規格番号A6061が一般的なようですが、鋳造ホイールではそうではないようなのです。

 

画像はENKEI ES-TARMACのハブ接合面ですが、ここにA356の文字が見えると思います。

ホイールに記載されたアルミの規格番号

 

ここまで挙げたアルミ合金の規格番号の頭には、Aの文字が必ず付いていますので、このA356も恐らくアルミ合金の規格番号を意味するものだと思うのです。

 

そうだとすれば、鍛造ホイールに使用されているA6061とは違う素材だということになりますよね。

 

恐らく、鍛造用のアルミ合金は圧力をかけて成形しやすい特性がある一方で、型枠に流し込んで成形する鋳造用のアルミ合金は、溶融しやすく、その状態から直ぐに固まらず、型枠内に行渡り易い特性を持つものなのではないでしょうか。

 

故に使用されるアルミ合金は異なるということなのだと思います。

 

バリエーションが増えているホイール用アルミ合金

 

どうやら、アルミホイール用の合金のバリエーションは最近増えているようなのです。

 

最近TWSのサイトを見てみたら、T66-Fの商品説明に、素材となるアルミ合金についての情報が記載されていることに気付きました。

 

大口径中心のTWSのブランドラインナップの中で、唯一15インチ、16インチサイズが設定されているT66-Fは、16インチ以下と17インチ以上で、材質となるアルミ合金の種類が異なっていて、15インチ、16インチで使用されているのは、鍛造ホイール用として一般的なアルミ合金である6061材を、17インチ、18インチ、19インチで使用されているのはブランド名の由来となっている6T66材というアルミ合金なのだそうです。

 

T66-Fは全サイズで世界最軽量を目指したため、鍛造の素材そのものから開発を行い、素材メーカーと6T66材を共同で開発したらしいです。

 

この6T66材というアルミ合金は、通常の6000系アルミよりも高強度で伸びが良く変形しにくい特性を持っているのだそうです。

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