車検に通るツライチセッティング ツライチオフセット値の計算方法
前回の豆知識では、ホイールのツライチオフセット値を求めるため、ホイールスペーサーを使ってシミュレーションすることについてまとめていました。
ホイールの中心から前30度、後ろ50度の範囲で、車体からはみ出ないかを確認するため、5円玉の錘を付けた糸をフェンダーから垂らし、糸がタイヤ・ホイールに触れないギリギリの段階で、挟み込んだホイールスペーサーのトータルの厚みを確認し、それを基に計算してツライチオフセット値を求める、というところで一旦話が終わっています。
今回は、「そもそもオフセット値とは何か?」をおさらいしつつ、「ホイールスペーサーを挟み込むことで、オフセット値がどの様に変化するのか?」についてまとめてみたいと思います。
先ずは、「オフセット値とは、そもそも何か?」のおさらいです。
だいぶ年季の入ったTE37 GRAVELの画像ですが、このホイールは15インチ、6.5J、オフセット+28mm(今風に言うならばインセット28mm)のサイズ設定になっています。
リム幅は6.5Jですのでリムの内側の幅は、25.4mm(1inch)×6.5=165.1mmとなります。
オフセット±0mmの状態は、リム幅のちょうど真ん中にホイールディスクと車体側のハブとの接合面になるので、だいたいこんな感じのところがオフセット±0mmの位置となります。
このホイールのオフセットは+28mm(インセット28mm)となっていますので、オフセット±0mmのところから、外側に28mm移動したところがホイールディスクと車体のハブの実際の接合面になります。
このホイールに10mmのホイールスペーサーを挟み込めばどうなるでしょうか?
10mmのスペーサーがホイールディスクと車体側のハブとの接合面の間に挟まれますので、ホイール自体のオフセット値に10mmが加わり、画像で例示したホイールならば+28mm(インセット28mm)に10mmが加わり、オフセット値が+38mm(インセット38mm)になる?
ブブゥー不正解です!
+28mm(インセット28mm)と+38mm(インセット38mm)では、後者の方がより中に入ったオフセットになります。
ホイールスペーサーを挟み込んだのであれば、そのような状態には決してならないので、+28mmからホイールスペーサー分の10mmを減じた、+18mm相当のオフセット値が正解になるのです。
スペーサーの厚みの数値は、マイナスの値として扱うことがポイントです。
例えば、
オフセット+28mmのホイールに合計15mmのスペーサーを挟み込んだ状態がツライチならば、
28mm-15mm=+13mmが、その状態のホイールのオフセット値になります。
例えば、
オフセット+28mmのホイールに合計28mmのスペーサーを挟み込んだ状態がツライチならば、その状態のホイールのオフセット値は、28mm-28mm=±0mmとなります。
例えば、
オフセット+28mmのホイールに合計33mmのスペーサーを挟み込んだ状態がツライチならば、その状態のホイールのオフセット値は、28mm-33mm=-5mmとなります。
仮に購入しようとしているツライチオフセットのホイールが、今より太いリム幅のものを想定している場合はどうすれば良いのでしょうか?
ホイールのリム幅はインチ表記となって、1J(1インチ)アップすれば25.4mm、0.5J(半インチ)アップすれば12.7mm太くなります。
ホイールのリムの中心から表裏共に同じ分だけ外に出ますので、1Jアップは、25.4mmの半分である12.7mm、0.5Jアップは12.7mmの半分である6.35mm分だけツライチに近づくのです。
言い換えれば1Jアップは12.7mm、0.5Jは6.35mmのスペーサーを挟み込んだのと同じ状態になると言えるでしょう。
ホイールスペーサーを使用してツライチオフセット値をシミュレーションする上で重量なポイントをもう一つ。
シミュレーションに使用するホイールのサイズ確認は不可欠です。
これが分からなければ、いくらツライチ状態になるホイールスペーサーの厚みがわかっても、決してツライチオフセット値を求めることができないからなのです。
上記の作業を行う前に必ず今使用しているホイールのサイズを今一度しっかり確認しましょう。
さぁこれでツライチホイールのオフセット値が分かりました。後はそのサイズのホイールを購入すれば愛車に履ける…
と思ったら早計です。ツライチの最終関門、「フェンダーの爪折りが必要」なのです。
この点は次回に纏めます。今回はここまで…