ツライチの最終関門 フェンダーの爪折り
愛車のツライチオフセット値がわかり、そのサイズのホイールを購入すれば、ツライチホイールを問題なく取り付けられる…訳ではありません。
真のツライチにする為にはフェンダーの爪折りが必要になります。
ギリギリのツライチを目指すらならば、この爪をカットしてしまうか、折り曲げてしまう必要があります。今回はカット=爪切りには触れず、折り曲げ=爪折りについて纏めています。
自動車のフェンダーは、数ミリの薄い鋼板で作られていますが、ホイールアーチに沿った部分は1センチ程度の折り返し、通称「爪」とか「耳」と言われる部分があります。
カーブを走行する、ギャップを乗り越える時にサスペンションがストロークすれば、ギリギリまでツライチにした場合はホイールやタイヤの縁がこの爪に干渉してしまうのです。
僅か1センチ程度ですが、この爪を対処しなければ真のツライチを実現出来ないのです。
フェンダーの爪折りの仕方
1.乱暴なやり方
「プラスチックハンマー等でぶっ叩いて曲げる」
です。
この方法はDIYなのでコストがかからない反面、綺麗に曲げるのは難しい上、フェンダーの塗装が剥がれるリスクもあります。
せめて、曲げる箇所をヒートガンなどで温めた方が曲げやすいですし、塗装も剝げ難いと思います。下取りを考えていない、乗り潰すつもりの車両ならばこの方法もありなのかもしれません。
2.丁寧なやり方
「専門の業者に依頼して、専門の器具であるフェンダーペンディングツールを使って綺麗に折り曲げてもらう。」
です。
フェンダーの爪を綺麗に折り曲げられる反面、費用が発生します。
フェンダーの爪折りにかかる料金は、安いところで1か所あたり5,000円~、高級輸入車のフェンダー爪折を行う業者だと1か所あたり10,000円を超えるところもあるようです。
さて、フェンダーの爪折りについて粗方説明しましたが、最後にそのデメリットについても触れておきます。
爪を折るデメリット
フェンダー内には各種配線類が通っています。
これらをカバーする為ポリエチレン樹脂製のライナーが存在するのですが、フェンダーライナーはフェンダーの爪の部分に取り付ける構造になっているのです。
フェンダーの爪を折ってしまうと、ライナーが取り付けられないといった事態も起こり得ます。
爪折りを依頼した業者さんがライナー加工も対応してくれる場合もありますが、その分費用に反映されるでしょう。
フロントフェンダーは、ボルト数個でボディに取り付けられているに過ぎませんが、リアフェンダーは、溶接されリアクォーターと一体化したボディパネルであることが一般的です。
パネルのフチがL字に折り返しされていることで、リアフェンダーは捻れやホイールアーチを開く様な入力に対しいくらか剛性を発揮しています。
このリアフェンダーの爪を折り曲げてしまうと、僅かとは言えボディ剛性が低下してしまうかもしれないのです。
おまけに最近はこの爪の部分をパネル接合部とすることが多く、鋼板が二枚重ねになっていて折り曲げ難くなっている上、ボディ剛性に影響があるスポット溶接箇所でもある重要な部分なのです。
ここを折り曲げることでスポット溶接が剥がれるリスクが無いとは言えないと思います。
私自身、フロントフェンダーの爪を折ることに躊躇しませんが、リアフェンダーの爪を折るとなるとかなり迷いますね…
ホイールとボディラインをツライチにすると言うことは、本来あるべき状態ではないので、剛性や塗装、溶接箇所等何かを犠牲にすることになるので、よくよく考えて踏み切る行為であると認識しておいた方が良いでしょう。
フェンダー爪折りを伴うツライチは、
「それなりに覚悟をもってやるべきチューニング行為」
であると思っています。