50周年を迎えるゴールドとシルバーの2つのBBS
鍛造ホイールのトップメーカーの一つであるBBSですが、今年でなんと50周年を迎えるのだそうです。
BBSは、今を遡ること50年前の1970年に、ハインリヒ・バウムガルトナー(Heinrich Baumgartner) とクラウス・ブラント(Klaus Brand)という二人のドイツ人により、ドイツのシュバルツバルと地方のSchiltach(シルタッハ)という町で設立されました。
「BBS」の社名は、その二人の名前と町の名前の頭文字から命名されているのです。
BBSの設立当初は、意外な事にFRP製エアロパーツのサプライヤーだったのですが、そのエアロパーツがヨーロッパツーリングカー選手権(ETC)のレーシングカーに採用されたことをきっかけに、1972年からレーシングカー用の3ピースアルミホイールを製造するようになったようです。
ここからアルミホイールメーカーとしてのBBSの歩みが始まりました。
その後1983年に、ドイツのBBSは、日本のワシマイヤーとの共同出資により日本BBSを設立します。
以降、鍛造アルミホイールおよび鍛造マグネシウムホイールは日本国内で製造されるようになるのです(因みに、この鍛造マグネシウムホイールは、F1用ホイールとして供給されているものです)。
その一方で、BBS発祥の地であるドイツでも主に鋳造ホイールの製造と販売を行なっていたので、この段階でBBSは、鍛造ホイールを製造する日本BBSと、主に鋳造ホイールを製造するドイツ本国のBBSの2系統に分かれることになります。
日本BBSが製造する鍛造ホイールは、高い品質に見合った高価なプライスタグが付けられて販売されるだけでなく、自動車メーカーの純正ホイールへの採用、オプションホイールとしての設定がされている例も多数あり、1980年代当初から日本国内において高級ホイールブランドの地位をBBSは確立していきます。
ですが、順風満帆のように見えていたBBSにも2008年のリーマンショック以降の世界的な不況が暗い影を落としはじめるのです。
先ず、2011年1月ドイツBBS社がドイツ版の民事再生法を申請し、事実上の倒産となります。
これを受けて同年11月に、日本BBSの共同出資会社であるワシマイヤーの親会社、小野ホールディングスが、同年12月31日付でドイツ本国のBBS社の鋳造ホイール部門を除く製造部門、商標権を買収することを発表します。
ドイツ本国のBBSが事実上の倒産となった後も、BBSの鍛造ホイールを製造、販売していくためには必要不可欠な権利ですから当然の対応とも言えるでしょう。
しかし、翌年2012年10月26日に、今度はワシマイヤーが会社更生手続開始の申立てを行うことになってしまうのです。
結局2013年11月にワシマイヤーは、子会社の日本BBSなどとともに、前田工繊の完全子会社となり、現在のBBSジャパン株式会社へとつながってくるのです。
日本における最高級ホイールブランドと言っても過言ではないBBSですが、その歴史を紐解くと紆余曲折があったのですね…
日本BBSからBBSジャパンに変わって命脈を繋いだ鍛造ホイールブランドとしてのBBSですが、本国ドイツのBBSはどうなっていると思いますか?
こちらもBBS GmbHとして存在しており、今も主に鋳造ホイールを製造・販売しているようです。
BBSジャパンのサイト内にBBS GmbHのサイトのリンクがありますので、両者には未だつながりがあるのだと思われます。
さて最後に、本ブログタイトルのゴールドとシルバーの2つのBBSとは何だと思いますかね?
日本製の鍛造ホイールのBBSのセンターキャップのBBSのロゴの文字は金色で、一方ドイツ本国製の鋳造ホイールのそれは銀色になっているのだそうです。