ホイールメーカー・ブランド 名前の由来について
一見してもその意味が分からない、ホイールメーカーやホイールブランドの名前にも、きちんと由来があったりするのです。
当サイトでも、何度か個別に取り上げてきている題材ですが、小出しにするのは止めて、今判っていることを一纏めにしてみました。
先ずはホイールメーカーの名前の由来から。これについては、ホイールメーカーの企業サイトを見てみると、きちんと記載されていることが多いですね。
ENKEIの由来
現在の正式な社名は、エンケイ株式会社です。ENKEIの社名は、創業時の社名である「株式会社 遠州軽合金」の略称に由来しています。
enkei.co.jp内のWEBショップには、
「イベント会場にて先行販売されて人気のオリジナルステッカーがWeb Shopにも登場! ENKEIの1989年までの社名『遠州軽合金』を漢字でクールにデザインしました。」
と説明されたロゴステッカーが販売されていますので、つい30年くらい前までは、漢字表記の渋い社名だったことが分かります。
余談ですが、アメリカの知人が「ENKEI」のことを「エンカイ」と言っていましたけど、日本人以外は「ENKEI」を「エンケイ」とは読めないのかもしれませんね。
WEDSの由来
現在の正式な社名は、株式会社ウェッズです。
WEDSの社名は、「World Elstar Distributor System」の略にから来ています。
ここで出てくる「Elstarとは?」と思いますよね。
エルスターは、ウェッズの親会社であるホイールメーカーの中央精機が、1969年に発売した、日本初の社外ホイールのブランド名で、WEDSは『エルスター』を販売する会社として設立されたため、このような社名になっているようです。
ウェッズは、日本における社外アルミホイールメーカーのパイオニア的な存在と言って良いのかもしれませんね。
国内ホイールメーカーの名前の由来で知っているのはこれくらいです。
お次は海外ホイールメーカーの由来についてです。
BBSの由来
BBS JapanのホームページにAbout BBSというページがあり、「BBSの発祥」が明記されています。
それによると、「1970年、ハインリヒ・バウムガルトナー(Heinrich Baumgartner) とクラウス・ブラント(Klaus Brand)の2人が、『黒い森』に位置するシルタッハ(Schiltach)に自動車部品製造販売会社を設立する。“BBS”は、この2人の創始者と創立の地の名によるものである。」
とされていますね。
O・Zの由来
O・Zも創業者の名前に由来しているそうです。
創業者名から検索したら、それに関する記載が、O・Zのホームページ内にありました。
今はリンク切れしていますが、2016年に創業45周年を記念して発売された「Anniversary 45」と名付けられたホイールの説明の中に、O・Zの名前の由来が記載されていました。
「O・Zは車への情熱を共有する2人の親友である、シルヴァーノ・オゼッラドーレとピエトロ・ゼンにより1971年に創業されました。この2人は自動車のパイオニアになることを運命づけられ、全体のマーケットにわたる技術的、スタイル的動向を定めるブランドと製品をその後45年にわたって構築してきました。ロッサーノ・ヴェーネト(ヴィチェンツァ県)のガソリンスタンドの裏の田舎で1971年に最初のOZホイールである「ナンバーワン」のアイデアが現実のものとなりました。このホイールは地元のラリーレースに参加するMINIクーパー向けに作られました。」
と、社名の由来についての説明がありました。
因みに、O・Z(オーゼット)のセカンドブランドであるMSWは、創業者名の略ではなく「Motor Sport Wheel」の略をブランド名としているそうです。
BBSもO・Zも、創業者の名前の頭文字から企業名を定めた、有りがちな命名パターンのようです。また、WEDSも、BBSも、O・Zも1970年前後に設立されている点に注目です。
モータリゼーションの高まりを期に、多くの社外ホイールメーカーが、この時期に相次いで設立されたことが分かりますね。
続いてはホイールブランドの名前のです。
これについては、雑誌での開発者インタビューやホイールに関する記事、アルミホイールの雑誌広告での表現やメーカー担当者に直に確認したことと、ネットで拾った情報や推測を交えて纏めています。
裏が取れている内容については、それを明記していますが、そうでないものはネットで拾った情報、もしくは推測です。
ホイール名の由来
先ず、軽量ホイール代名詞でもあるRAYSのVOLK Racing TE37、CE28N、RE30、ZE40、NE24の名前の由来についてです。
TE37のTEは、「TOURING EVOLUTION」の略で、15inch、6JのTE37が3.7kgであることから命名されています。
CE28NのCEは、「COMPETITION EVOLUTION」の略で、14inch、5.5JのCE28Nが2.8kgであることから命名されています。
RE30のREは、「RACING EQUIPMENT」の略で、既存の軽量鍛造1ピースホイールよりも30%の剛性アップを目指していることから命名されています。
ZE40のZは、「この先10年はこのZE40を上回るSTRONGホイールは生まれないだろうという思いをZに込めた。」とRAYSのホームページのZE40のブランド説明に、Eの意味も「EVOLUTION」の略であることが、2021年5月に発売されたNE24のブランド説明の中で明記されていました。
40はVOLK Racingの40周年の節目に発売されたからとのことです。
NE24のNは、VOLK RACING Gr.Nの「N」、また市販車で厳格に最低限の改造で競うレース「N」クラスからきており、エヴォリューションのEを繋げましたと、また24は2×4スポークを構成を表しているとRAYSのホームページの、NE24のブランド説明の中で明記されていました。
TE、CEが何の略なのか、また、RE30名前の由来については、雑誌レブスピード2007年5月号の、RAYSによるF1へのホイール提供を記念した記事に記載されていました。
TE37、CE28N、RE30、ZE40の数字の意味については、東京モーターショー2017に赴き、RAYSブースにいた社員の方に確認したことなので信ぴょう性は高いと思います。
ホイールの重量に基づいて命名された例は、RAYSのTE37やCE28Nの他にも幾つかあります。
タケチプロジェクトのCP-035の名前の由来は、15インチ、6J、offset+45mm、PCD100mm-4Hサイズで、3.58kgであることからCP-035とされています。
こちらについては、オムツを履いた赤ちゃんが、片手で軽々とCP-035を持ち上げている雑誌広告に明記されていました。
同じく、SPOONのSW388は3.88kgという軽量さから来るものとされています。
SPOONのホームページや雑誌記事等、確たる情報ソースは無いのですが、SPOON SW388を実際に重量計測した結果を見る限り、その通りと思われます。
続いて、横浜ゴムのADVAN Racing RC、RG、RSの名前の由来についてです。
RCは、「rally championship」の略で、RGは「Race」と「Gymkhana」 という二つの舗装系競技の名前の頭文字を採って命名されているらしいです。
RCとRGの由来については、車種別に自動車部品を整理して掲載している「ハイパーレブ」という雑誌のホイール紹介の中で触れられていました。
ADVAN Racing RSは、レーシングスポーツの略をブランド名としているとのことです。
WEDS SPORT のSA-35RやSA-77R、古くはSA-90、SA-70といったブランドがあるSAシリーズですが、このSAは「Street Advantage」の略であることが雑誌の記事の中に記載されていました。
共豊コーポレーションから発売されているAME TRACERシリーズのAMEの意味は、「Automobile Engineering」を略したものだそうです。
今は無き、株式会社カービングから発売されていた軽量ホイールであるSTARK MS、RG、TSは、それぞれ「MOTOR SPORTS」、「RACING GEAR」、「TOURING SPORTS」の略だそうです。こちらも「ハイパーレブ」のホイール紹介の中で触れられていました。
最後に、エンケイのグラベル用競技ホイールの名前について考えてみました。
第三世代のES-GRAVELを除き、エンケイのグラベル用競技ホイールは、RCの文字が冠されていますが、これはRALLY COMPEの略で、初代のグラベル用競技ホイールRALLY COMPEの系譜を意味しているのであろうと推測しています。
唯一RCの文字が冠せられていないES-GRAVELのESは「ENKEI SPORTS」の略ではないかと推測しています。
何気なく見聞きしているホイールのブランド名にも、色々な意味が込められているものなのですね。
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