・軽量ホイールのメリット
軽量ホイールに換えるメリットとして、良く言われているのは以下の三点です。
1.加速・減速性能の向上
2.ハンドリング性能の向上
3.燃費性能の向上
軽量ホイールを選択することでホイールの重量が減れば、その分慣性モーメントも減ることになるので、アクセルを踏めば、より加速しやすくなるばかりか、ブレーキング時には速やかに速度を落とすことが可能になります。
良く似た現象は、軽量なフライホイールに交換した時にも実感できるもので、体感的には「少しアクセルレスポンスが良くなったかな?」と感じるでしょう。
慣性モーメントの減少は、回転方向を変えることにも作用しますので、ハンドリング性能も向上すると言えます。
また、慣性モーメント減少により、少ないエネルギーでホイールを回転させることが出来るようになりますし、車両重量も減少するので燃費にも良い影響を与えることになるでしょう。
ここだけ読めば「ホイールは軽ければ軽いほど良い」と思われるでしょうが、これらの加速・減速性能の向上やハンドリング性能の向上は、鋭敏な感覚の持ち主でなければハッキリと感じることはできません。
普通の人であれば「少し変わったかな?」位にしか感じられないレベルなのです。
加えて、高速道路のようなところで、ある程度の速度域内で走るような状況では、メリットとして挙げた減速しやすいことがかえってデメリットになってしまうことがあります。
高速道路でうっかりアクセルを戻したりすると、普通のホイールと比べで車速が落ちやすいのです。
元の車速に戻すためにアクセルを踏むことが多くなれば、当然その分燃費は悪化してしまいます。
一定の速度で安定して転がり続けるには、それなりの重量のホイールの方が適していると言っても良いかもしれません。
コンマ何秒で優劣を競うレースやジムカーナといった自動車競技の世界では、より軽量なホイールが不可欠ですが、一般道での走行であれば、必ずしも軽いホイールが最適のホイールだとは言えません。
・軽量ホイールのデメリット
軽量ホイールに換えるとデメリットもあります。良く言われているのは以下の三点です。
1.乗り心地の悪化
2.ロードノイズの増大
3.価格が高い
一番目の乗り心地の悪化ですが、「軽量ホイールに交換すると、何故乗り心地が何故悪化するのか?」と不思議に思う方は多いでしょう。
この文章を書いている私もあまり実感できていないのですが、「慣性モーメントの減少で路面追従性が上がることで、サスペンションに対しての入力が増す」的な説明がされていたり、「固有振動が乗り心地に影響する」的な説明が多いように見受けられます。
以下は個人的な見解ですが、純正のサスペンションは、純正のホイールの重量を考慮してセッティングされています。
ここでホイールを交換すれば、セッティングの前提条件となる純正ホイール&タイヤセットの重量から大きく乖離します。
その結果、セッティングのバランスが崩れ、セッティング前提条件の重量よりバネ下が重くなればホイール&タイヤの上下動を抑えられないので、サスペンションが柔らかく感じる。
逆に、バネ下の重量が軽くなれば、サスペンションがしなやかに伸び縮みしなくなる分、サスペンションが硬く突っ張った感じがするのだろうと理解しています。
そのことは二番目のデメリットとして挙げられたロードノイズの増大にもつながります。
バネ下の軽量化により、固く突っ張ったサスペンションになるのであれば、路面からの入力をダイレクトに受けてしまいますのでロードノイズが増大するのも不思議なことではありません。
三番目のデメリットは、当たり前のことですが、軽量ホイールの価格は高いことがデメリットです。
・軽量ホイールのメリットを享受できるケースと車種
このようにデメリットがあり、且つ、メリットとして挙げた効果を感じられる人は僅かだとすると、一般道において軽量ホイールに交換する意味は果たしてあるのでしょうか?
一つ言えるとしたら、純正ホイールから好みの社外ホイールに交換する場合、インチアップすることが多いと思います。
このような場合は軽量ホイールに交換する意味があると思います。
インチアップすれば、純正タイヤ&ホイールと比べ、バネ下の重量が増加します。
軽量ホイールを選択することで、インチアップしてもバネ下重量変化を抑えることができるのです。
またホイールをインチアップしなくても、よりスポーツ志向の高いタイヤに交換した際も、タイヤの重量が増加するため、軽量なホイールを選択する意味はあると思います。
※重量計測ブログ 豆知識「ホイールだけじゃないバネ下の軽量化 サイズは同じでも異なるタイヤの重量」
次に、どのような車に軽量ホイールが必要かを考えてみました。
個人的には、軽自動車を含め、排気量の少ない小型車こそ軽量ホイールが適していると思っています。
停止状態から発進しようとする場合、エンジンパワーの小さい小型車でも、慣性モーメントの小さい軽量ホイールの方が加速し易くなります。
走る状況についても、高速道路よりも、ストップアンドゴーが多い市街地を走ることが多いでしょう。
このような状況を踏まえたら、エンジンパワーの小さい小型車ほど軽量ホイールのメリットを享受できると考えているからです。
逆に僅かなホイール重量に影響されない、エンジンパワーに余裕のある大排気量のビッグセダンやミニバンは、それほどホイールの重量に拘る必要はないと思います。
一定速度で走行するにはやや過敏な軽量ホイールのデメリットを考えれば、高速道路での疲れにくさや、デザイン性の高さを考え、それなりの重量がある一般的な鋳造アルミホイールの方が適している場合もあることを覚えておいてください。